Art Project
Wild Conversation~Music Tennis~
音楽×テニスを使ったアートプロジェクト。コンセプトは「ワイルドに対話する」 。
テニスコート上に複数の人感センサースピーカーを配置し、それぞれのスピーカーに別々の音楽の素材を入れる。テニスのラ リーを続けることで、プレーヤーの動きに反応し異なる音楽が多調的に響き合い、その空間で一つの音楽が作曲される。楽器未経験者でも、ラリーをすれば合奏が出来るような、身体を動かす新しい音楽インスタレーション。 スポーツと音楽(演奏及び作曲行為)を組み合わせる事で、プレーヤー・音楽家・観客の役割を曖昧にし、音楽ラリーを通じ、対話の可能性・他者や自身へのまなざしを開くような作品を提示する。 「ラリーを続けると、音楽が生まれ続ける」仕組みをつくる事で、「相手に勝つ・負ける」の勝利至上主義のスポーツを「相手のボールを受ける・相手が打ち返しやすいところへ返す」といったケア精神のスポーツへ転換する。楽しく自然に、個人主義的・勝利主義的な 価値観への抵抗を表現する。また、楽器未経験者でも演奏家とセッションする事で、作曲や演奏自体を身近なものに捉えてもらうような新しい音楽体験を提案する。
photo&film by Akinori Tanaka
Rally by Yuga Omae
Support by Aoi Nogi
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]
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Statement
私は1999年(11歳)から地元の福井県鯖江市にあるテニススクールに通い始め、2008年(20歳)に大学のテニス部を退部するまで「競技としての テニス」に励んできた。いわゆる勝つためのテニスというものは、いかに相手にラリーさせないか・多くの得点を取るかの勝利至上主義をベースとして いる。その感覚は試合以外の場面でも常に存在し、日常生活すべての行為が「勝利するために」で構築される文化があった。そこで生じるハラスメント(先 輩からの嫌がらせ・顧問からの暴力・ホモソーシャル・不条理な部活ルール・罰と恥を与えて管理する等)は、選手として活躍すればするほど増えていっ た。その環境下では他者や自分自身との「対話」は成り立たなくなり、大学のテニス部退部を機に、テニス自体を辞めることになる。2013年頃から音 楽活動を始め、同年にVegetle Recordを結成。いくつかの作品をリリースした後に2019年から空間の音楽や、デザインとしての音楽に取り組むように なる。
昨年、せんだいメディアテークの館長・鷲田清一氏の「対話の可能性」の文章を偶然目にする。
対話は、他人と同じ考え、同じ気持ちになるために試みられるのではない。語りあえば語りあうほど他人と自分との違いがより微細に分かるようにな ること、それが対話だ。「分かりあえない」「伝わらない」という戸惑いや痛みから出発すること、それは、不可解なものに身を開くことなのだ。 何かを失ったような気になるのは、対話の功績である。他者をまなざすコンテキストが対話のなかで広がった身体。対話は、他者へのわたしのまなざ し、ひいてはわたしのわたし自身へのまなざしを開いてくれる。
一部引用 , 出典 鷲田清一 (2013) ,「対話の可能性」せんだいメディアテーク 特設サイトより
この文章をきっかけに、今回の「Wild Conversation~Music Tennis~」を考案する。相手を打ち負かすよりも、相手の打ちやすい場所にボールを返し て、ラリーが続くようにする。そしてラリーが続けば、その二人が音楽を一緒に奏でる事が出来る。勝利としてのスポーツからケアとしてのスポーツに 音楽を使って転換する事で、相手との「対話」が生まれ、他者と自身へのまなざしを広げてくれる様な作品が出来るのではないか。 空間音楽家として、青年期をテニスに捧げてきた者として、それがクロスするような反応に挑戦したい。